要介護・療養中の患者で口腔以外の臓器に悪性腫瘍があり,口腔への転移がみられることもある.本症例は肺に原発巣と思われる悪性腫瘍があり,入院時すでに口腔内にはカリフラワー状の転移性腫瘍と,皮膚表面にも潰瘍を伴った部分がみられた.口腔内はすでに白く苔状になり,表面の清掃は十分行えない状態であった.日々の看護師による口腔ケアは,病変部には触らないようにし,皮膚表面から出ている部分を洗浄するように指導した.膿様の浸出液(おそらく壊死した細胞や感染部から出る膿)が多く出ていたので,浸出液が出てくる部分を,シリンジで生理食塩水を注入する形で洗った.洗浄時には痛みが出るため,オピオイド製剤を事前に投与し,処置時に痛みを抑えるようにする方法もとった.処方は内科主治医にお願いし,処置前30分に投与を行い,効果が現れたところで処置を行った.a104転移性口腔癌 80代女性
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