日本歯科評論7月号
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木きノの本もと喜よし史ふみ 根尖性歯周炎を惹起させない,あるいは治癒に導くという,いわゆる歯内療法を成功に導くために最も確実で有効な方法であり,かつ必須の条件は,根管系における感染の制御である.この感染の制御はすでに根管系に存在するう■や感染歯質,その他の感染源の除去だけでなく,治療中の感染の侵入に対しても考慮しなければならない.治療中の感染の侵入の予防手段として,隔離(isolation)と仮封が重要である.前回は隔離の中の「隔壁」について述べた.今回はラバーダム防湿(dental dam)について解説する. 治療部位の隔離の直接的な目的は,唾液や呼気からの湿気に対する防湿,頰や舌,歯肉などの排除と保護である.歯の形態を回復することによって隔離を達成するのが「隔壁」であり,治療中に装着して行う隔離が「ラバーダム防湿」である.ラバーダム防湿によって上記の目的の他に,器具や材料,薬剤の誤嚥の防止,治療部位の明視化なども達成される.ロールワッテによる簡易防湿では,防湿以外の目的は達成できない. 米国歯内療法学会(American Association of Endodontists:AAE)のPosition Statement■)や欧州歯内療法学会(European Society of Endodontology:ESE)のガイドライン■)において,歯内療法における必須の処置であるとされている.大阪大学大学院歯学研究科臨床教授医療法人豊永会 きのもと歯科〒564-0072 大阪府吹田市出口町28-1 ラガール豊津1F日本歯科評論(通刊第969号) 105治療部位の隔離の方法の₁つとしてのラバーダム防湿──ラバーダム防湿4.感染制御

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