アドバンスド デンチャー テクニック
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adgibejcfkh図29 すれ違い咬合になる⼀歩⼿前でインプラント補綴を積極的に⾏うほうが良好な予後を得やすいと考えている.a~c:術前.コーヌステレスコープデンチャーを使用.d~g:2010年4月.インプラント固定性上部構造装着時.h:2021年10月.i~k:2022年8月.通院が困難となり,近医にて下顎左側臼歯部を再治療している.力の重心も歯列弓の中で後方に移動し,咬合力や咬合接触面積が増加することも確認できた(図27). しかしながら一方で,すれ違い咬合患者は過大な咬合力やブラキシズム等のインプラント治療におけるリスクファクターも併せ持っている場合が多く,インプラントの脱落や破折も少なからず認められた(図28).咬合支持のある遊離端欠損に比較して,残念ながらインプラントの成功率はかなり低いと思われる. また,すれ違い咬合の状態が長く経過すると顎堤の異常吸収が発現するため,骨量不足からインプラント埋入自体ができない症例も多くなる.すなわち,すれ違い咬合こそIRPDの適応症であり,インプラント支持により最大の効果が得られることはたしかであるが,同時にリスクも高いことを合わせて認識しなければならない. できうるならば,すれ違い咬合になる一歩手前でインプラント補綴を積極的に行うほうが良好な予後を得やすいと考えている(図29)2,50). 126

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