図₃ 2002年₅月の本学初診時のパノラマエックス線写真.₂3は著しい動揺が認められ,他科の診断にて同₂歯が抜歯され前後すれ違い咬合となる.図₂ 補綴科初診時の口腔内写真.上顎臼歯と下顎前歯が残存する前後すれ違い咬合.PartⅡ IRPDを使いこなす 67₂.骨量が十分でない場合の対応 すれ違い咬合やコンビネーションシンドローム(上顎は無歯顎で下顎前歯のみが残存する両側遊離端欠損症例.上顎前歯部のフラビーガム,歯肉頰移行部の繊維症,下顎前歯の歯周組織変化などの関連症状がある)では顎堤吸収も大きく,欠損部に十分な骨量が存在しない場合が多い.したがって,欠損部にインプラント固定性補綴を行うためには,上顎洞底挙上術や骨造成が必要となる.インプラント可撤性補綴においても,義歯安定のためにできるだけ支持分布の拡大が図れる理想的ポジションにインプラント埋入を行いたいが,多大な外科的侵襲を加えるよりは近くの骨量が存在する部位を選択する.大規模な骨造成をしなければインプラント埋入できないような症例では決して無理をせず,できるだけ従来型義歯のクオリティーを向上させてIRPDを
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