IODとIRPDの疑問を解決 Q&A
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図₁ 前後すれ違い咬合では矢状面的(a),左右すれ違い咬合では前頭面的な義歯の回転変位(b)が,支台歯間線を軸にきわめて早期に発現する.66aabb₁.症例の概要 有床義歯治療における難症例とは「通常の義歯設計や製作術式を実践しても患者の満足が得られない症例群」と定義され,特に「すれ違い咬合」は部分欠損症例の中で最たるものと位置付けられている.すれ違い咬合における最大の問題点は義歯の回転変位であり,すべての残存歯と顎堤粘膜に最大限の支持・把持を求めても,義歯の相互回転変位を完全に抑制することはきわめて困難である(図₁). 本項では,通常の義歯治療では対応困難な「すれ違い咬合」に対して,IRPDを適用し長期経過した1症例を通して,IRPDの基本的考え方と臨床術式,メインテナンスの実際を解説する.る補綴を,下顎は₂本のインプラントを埋入したIRPDの装着を計画した.患者:54歳,女性.主訴:上顎前歯部のインプラント治療を希望して紹介来院.現病歴:約15年前より歯が欠損し始め,他院にてブリッジや義歯を装着したが,欠損の拡大に伴う再治療が続いた.2002年5月の初診時には,₂₃が著しい動揺のため抜歯され,前後すれ違い咬合となった(図₂・図₃).全身的に特記すべき事項はない.治療計画:上顎は骨量不足からインプラント治療を断念し,従来型の金属床義歯によ₂.難症例をIRPDで解決する

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