日本歯科評論9月号
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松まつ本もと邦くに史ひと 日本顎関節学会の診断決定樹のうち,顎関節円板障害と変形性顎関節症の診断決定樹を図1に示します.画像検査を利用するタイミングは緑色で表示された箇所で,顎関節円板障害ではMRI,変形性顎関節症ではCT,MRI,歯科用CBCTまたはパノラマ顎関節撮影(■分割)を利用します.これにより「顎関節症の診断基準(2019)」に定める画像診断基準に基づき,「確定診断」を得ることができます.これらの画像検査を利用できない場合には,口腔内外検査などを追加することによって「臨床診断」が得られます.表1に各画像検査の特徴と適応を示します.なお,何らの症状や既往,診察による異常所見がなく,偶発的な画像所見のみ陽性の場合は,顎関節症の診断基準を満たしません. 一方,疼痛が関連した顎関節症(咀嚼筋痛障害,顎関節痛障害)のみの場合には,スクリーニング日本歯科評論(通刊第971号) 105 シリーズ■回目は,顎関節症の確定診断に必要な画像検査のキーポイントを解説します. 画像検査は最小限行い,最大の情報を引き出すことが鉄則です.何を知りたいのかを検討し,治療上必要な検査あるいは診断基準に則った検査を選択します.顎関節症においては,日本顎関節学会「顎関節症の診断基準(2019)」に従った検査の選択を行うのとは別に,スクリーニングとしてのパノラマエックス線撮影も行う必要があります.特にエックス線撮影(CT,歯科用コーンビームCT:CBCTを含む)は被曝を伴うため,検査の正当化を適切に行う必要があります.正当化とは,検査を行うメリット(診断・治療のために必要な情報)と検査のデメリット(被曝)を天秤にかけ,その患者さん個々にとってメリットがデメリットに勝る場合にエックス線検査を実施します.日本大学歯学部 歯科放射線学講座 准教授日本大学歯学部付属歯科病院 顎関節症科 診療科長〒101-8310 東京都千代田区神田駿河台1-8-13Ⅰ 画像検査の基本Ⅱ 画像検査の選択とその特徴1.画像検査の選択特別シリーズ:それ,本当に顎関節症ですか?──顎関節症の鑑別診断②画像検査による顎関節症の鑑別TMD?ornot TMD?

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