景かげ山やま正まさ登と景山歯科医院〒164-0011 東京都中野区中央 2-59-11 本稿では,隣接面にう■があるときの検査に基づく診断と治療のフローチャートとその活用法について症例を交えて説明する.隣接面は歯列の中で隣在歯と隣り合っているので,視診や触診などの検査が行いにくい.しかし,他の歯面と同様に視診と触診の重要性は変わりない.そこで,歯列の中で位置的に特徴のある歯面である隣接面に対して,どのように検査を行い診断し治療をしていくか,フローチャートに沿って症例をご覧いただきたい. 隣接面う■のフローチャートを見ていく前に,隣接面う■の特殊性について説明する.咬合面や唇頰側面/舌口蓋側面などの平滑面のような視野がさえぎられない歯面は,直接観察することができる.しかし,隣在歯のある隣接面う■の場合,直接目視できないことが多い.したがって,隣接面の視診はプラーク除去後,切縁/咬合面または唇頰側/舌口蓋側方向からしか行えず,注意深く観察しなければ病変を見落とすことが多くなる.なぜなら,う窩が認められないとしても病変の深度や広がりを確認できるからである. なお,隣在歯が存在しない場合の近遠心面も形態的に平滑面であるが,通常は隣接面と呼ぶ.そのため本稿では,隣接面う■とは隣在歯の有無にかかわらず近遠心面に存在するう■を指す.したがって,平滑面う■とは,唇頰側面および舌口蓋側面に存在するう■のことをいう. ブラシなどでプラーク除去後に,う窩の有無を目視により確認する.う窩が認められる場合,X線写真検査で透過像の位置を確認する.透過像が象牙質に認められたならば象牙質内病変であるので,活動性象牙質う窩病変と診断する.咬合面う窩と同様に,治療として保存修復処置を行うが,レジン充塡が多い(図34-a). 隣接面う窩の症例を提示する.初診時28歳女性の日本歯科評論(通刊第967号) 57▶隣接面にう窩があるときの検査に基づく診断と治療の流れ(図34-a)歯冠う蝕の検査に基づく診断と治療のフローチャート――フローチャート作成の根拠と実際の活用法3.隣接面う蝕検査に基づく診断と治療
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