日本歯科評論2月号
3/9

日本歯科評論(通刊第964号) 27欠損歯列に対して機能回復を図る手段には,パーシャルデンチャー,固定性ブリッジ,さらに歯牙移動,歯牙移植からインプラントまで,多岐にわたる選択肢が存在する.それらは単に装置そのものの種類として分類されるものではなく,病態と治療のステップと予後とその管理を考えた治療方針に見合った臨床判断の選択肢といえるであろう.そして,それらの選択肢には利点・欠点があるので,熟知したうえで,症例の状態に応じて適用していくことが重要になってくる.なかでも,咬合支持獲得への手段という意味では歯牙移植とインプラントが選択肢としてクローズアップされてくる. 特にインプラント治療の普及に伴い,安易に抜歯が行われる傾向が強くなってきた.また,インプラント自体の信頼性は高まったが,「対合歯や咬合にどのような影響が及ぶのか?」に関して筆者の知る限りでは長期的に追跡した報告はほとんどない.歯根膜は想像以上に優れた生物学的特性をもつ組織であり,このような組織をもつ天然歯の保存について,インプラントを選択する前に検討すべきであることを理解していただきたい. 一方で,歯牙移動の枠を越えた移動の範囲(任意の位置)の可能性に大きな魅力を感じる.自家歯牙移植を欠損歯列に適用するにあたっては,次の■点が検討されなければならない. ■.まず,他の処置法に比べて利点があるか? ■ .ドナーサイト(移植歯)とレシピエントサイト(移植床)の双方に移植を行える要件が整っているか?ということが重要である.今号掲載今号掲載3月号掲載3月号掲載4月号掲載4月号掲載Ⅰ.はじめにⅠ.はじめにⅡ.自家歯牙移植を成功に導く理論的背景Ⅱ.自家歯牙移植を成功に導く理論的背景Ⅲ.自家歯牙移植の基本術式の流れⅢ.自家歯牙移植の基本術式の流れⅣ.自家歯牙移植の予後を左右する要素Ⅳ.自家歯牙移植の予後を左右する要素Ⅴ.当院における自家歯牙移植の臨床データⅤ.当院における自家歯牙移植の臨床データⅥ.長期経過症例からの考察Ⅵ.長期経過症例からの考察Ⅶ.CT を活用した最近の症例からⅦ.CT を活用した最近の症例からⅧ.インプラントとの比較Ⅷ.インプラントとの比較Ⅸ.おわりに(適応症とまとめ)Ⅸ.おわりに(適応症とまとめ)

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る