日本歯科評論2023年1月号
6/9

吉よし田だ馨けい太た株式会社シンワ歯研〒950-2032 新潟県新潟市西区的場流通1-3-17 筆者が初めてノンメタルクラスプデンチャー(以下NMCD)の製作に携わったのは2009年のことである.当時は製作方法や適応症例などについて明確に確立されておらず,製作には苦労を重ね,芳しくない経過を辿った症例もあった.臨床経験を重ねる中で,医院からのフィードバックや経過観察の情報などを記録・検証していくことで,上手くいく症例・いかない症例の傾向がある程度予測できるようになった実感がある. そこで本稿では,コマーシャルラボに勤務する歯科技工士という立場から,現存する過去の製作データを基に,症例の傾向や再製を回避するための施策や注意点,上手くいく症例,困った症例,起こりうる問題点やその対応,材料の選択と使い分けのポイントなどについて述べてみたい.これらが,歯科医師をサポートする歯科技工士からの■つの提案として,臨床の一助となれば幸いである. 当ラボに現存するNMCDに関するデータを用いて症例の傾向を検証した.期間は2009年■月〜2022年■月末までの13年■カ月で,症例数は3,690症例,製作数は3,820床であった.男女比,Kennedy分類,欠損歯数,再製率(新製後■年以内を対象)によるデータを図₁〜図₃に示す.これらのデータは,今後NMCDを導入する際に「どのような症例に導入したらよいか」「再製作に陥りやすい症例はどのようなものか」などを検討する材料としてご参考にしていただきたい. 男女比は圧倒的に女性が多い(図₁).また,■歯以下の症例に使われることが多く,欠損初期に導入されやすいことがわかる(図₂上).Kennedy分類の比較を日本歯科評論(通刊第963号) 55データから振り返る症例の傾向と再製率の推移データから見える症例傾向と₄.データから見える症例傾向と歯科医師・歯科技工士間の歯科医師・歯科技工士間の連携のポイント連携のポイント

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る