日本歯科評論2023年1月号
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図 包括的な知識の理解をコンポジットレジンにたとえると,個々の「フィラー」にあたる知識を包み込み,まとめる「マトリックスレジン」のような機能を果たす臨床能力を身に付ければ,自分の中に確固とした軸が形成されることが期待される.また,続々と生まれるエビデンスという新しい「フィラー」も取り込む柔軟性が求められる.※「エンドの鉄則」シリーズは隔月掲載を予定. 今回,これまでの「歯内療法 成功への道」シリーズの合計1,500頁強の知識を「フィラー」として,実践的に臨床に活かすためのヒントを解説する予定で,「マトリックスレジン」に相当する内容として「エンドの鉄則」を提供したいと考えた.筆者の35年間の臨床経験から,今後も新しく出てくるエビデンスに対応できる臨床における考え方も提供したい. これまで多くの若い先生と大学附属病院や歯科診療所(当院)で診療を一緒にしてきたが,知識としては知っていても,それを目の前の症例に落とし込むことは案外難しいようである.そのため,「歯内療法 成功への道」シリーズではできるだけ平易な表現,わかりやすい図・表による表記を心がけてきたが,それでも「これは〇〇だよね」と説明すると,「あっ! そうなんですね」と言われて,そこで初めて書籍に示されていた知識の実際の臨床における意味が理解できたという返事が戻ってくることが多い.また,「先生がおっしゃっていたのは,そういうことだったのですね」と言われることもある.このような言葉が返ってこないように,知識の「フィラー」だけではまとまりにくいところを「マトリックスレジン」で固めて,自身の中に歯内療法学として確固とした軸を形成してもらえれば,と期待している.(木ノ本喜史)臨床根管解剖感染根管治療抜 髄根尖病変偶発症CT時代の臨床根管解剖症例集

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