日本歯科評論2023年1月号
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宮みや崎ざき真まさ至し日本大学歯学部 保存学教室修復学講座 教授〒101-8310 東京都千代田区神田駿河台1-8-1310 THE NIPPON Dental Review Vol.83 No.1(2023-1) コンポジットレジン表面に入射した光線は,一部は表面で反射されながらコンポジットレジンの内部に進入する.コンポジットレジン硬化物内部に進入した光線は,マトリックスレジンを通過しフィラーや色調整材の粒径,密度,屈折率あるいは吸収率によって,散乱,反射,吸収あるいは拡散を繰り返し,最終的な色を形成する(図❶).さらに,コンポジットレジンの色調への影響因子としては,この材料が半透明性を有するところから,背景色が重要であり,レジンペーストの重合硬化に伴う重合率も関連する.特に,背景色となる窩洞の色調は,コンポジットレジンの色への影響因子として大きなものとなり,これを示すものとして“カメレオン効果”という用語が用いられている.コンポジットレジン修復におけるカメレオン効果とは,コンポジットレジンなどの審美性修復材料が,周囲歯質あるいは天然歯の色調と同調して見えることである₁). 周囲歯質との色調適合性に関しては,コンポジットレジンが有しているシェード,光線透過性,光線拡散性あるいは透明性などが影響因子となる.特に,光の拡散性とともに透過性に優れた材料を用いることによって,修復物周囲の歯質の色調を反映し,良好な色調適合性を得ることができる.カメレオン効果を有しているレジンペーストを用いることで,₁つのシェードで幅広い色調の歯に適応が可能となる. コンポジットレジンは,複合体であるところから“composite(コンポジット)”と称され,その基本的組成として,フィラーを含有することによって “粒子分散強化”という効果を獲得し,口腔内の使用に耐えうる機械的性質の向上を図っている.この効果を確実にするために,添加される無機質フィラー表面をシランカップリング処理によって有機質化することでマトリックスレジンと強固に接着させ,一体化させている.これによって,分散強化が確実なものとなり,修復材として前歯部のみならず臼歯部への応用が可能な強度CR修復におけるコンテンポラリーアート──審美性に配慮した臨床的アプローチの実際コンポジットレジン修復物の色コンポジットレジンの光学的性質1.色調適合性(coloradjustmentpotential)のサイエンス

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