日本歯科評論9月号
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村むら瀨せ由ゆ起き₁ 二に階かい堂どう 徹とおる₂98 THE NIPPON Dental Review Vol.82 No.9(2022-9) 修復材料や接着技術の向上,さらにミニマルインターベンションのコンセプトの普及から,直接コンポジットレジン修復(以下CR修復)を行う機会は増えている.また,患者からの審美的要求の高まりとともに,修復に際してより天然歯に近い,自然な色彩の再現も求められている■).しかし,チェアーサイドでの時間的な制約の中で,患者の異なる歯の色調を的確に再現するためには,対象とする歯を注意深く観察し,さらに高度な技術と経験が求められる.これまでのCR修復においては,シェードテイキングやCR材料の選択は術者の主観に委ねられ,経験と技能によるところが大きかった.さらに臨床において個々の症例に対応するためには,異なるシェードのCRを取り揃える必要があり,CR材料の在庫管理も問題となった. 最近,材料メーカーからは,ユニバーサルシェードのCR材料が上市され,「シェードのないCR」として注目されている.また,近年のフロアブルレジンは物性も向上し,使いやすくて研磨性にも優れた材料が登場している.本稿ではフロアブルレジンを用いた臼歯咬合面へのCR修復をめぐり,実際の臨床を供覧し,さらに色調適合性と形態付与のポイントについて解説する. 筆者らは,これまでにCR材料の色彩学的な研究を行ってきたが,市販CR材料の光透過率,光拡散率,色彩は各材料によって異なり,さらにCR材料の色彩朝日大学歯学部口腔機能修復学講座 歯科保存学分野 歯冠修復学₁助教 ₂教授〒501-0296 岐阜県瑞穂市穂積1851審美的なCR修復をめざしてフロアブルレジンの臼歯咬合面への応用——ユニバーサルシェードの活用と大臼歯咬合面の形態付与について はじめに ユニバーサルシェードのCR材料の色調

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