石いし崎ざき秀ひで隆たか日本歯科評論(通刊第959号) 65さえることで良好な経過が期待できる. 本稿では,このような偶発的な穿孔を起こさないために筆者が日頃注意している点や,実際に治療する際のポイントなどを臨床的観点から解説したいと思う. 穿孔は髄床底や歯根の側壁,根尖部や複根歯の歯根内彎側などに発生する.穿孔が起こる原因やタイミングはさまざまであり,う■や歯根の外部・内部吸収に伴う穿孔は予防が難しいが,根管治療時などに偶発的に起こる穿孔は予防が可能であり,いつどこに穿孔が起きるかを把握しておくことが穿孔を防ぐ第一歩である■)(図1・図2).長崎大学大学院医歯薬学総合研究科歯周歯内治療学分野 客員研究員〒852-8588 長崎県長崎市坂本1-7-1 穿孔は根管系と歯周組織系が不本意ながら交通してしまうことであり,根管治療をしていれば少なからず遭遇する偶発症の■つではないだろうか.髄腔開拡時に髄床底や歯頸部側壁に穿孔したり,根管拡大時に歯根側壁に穿孔してしまうこともある.再治療の際,ポストコアを除去したら穿孔が見つかることや,ガッタパーチャ除去時などに歯根側壁に穿孔が起きてしまうこともある.このような穿孔は治療後の予後を悪くする根管治療失敗の原因として以前から認知されている■). 穿孔が起きる原因はさまざまであるが,主に根管治療に関わる直接的な器具操作で偶発的に起こる場合と,う■や歯根の外部・内部吸収が進行して時間の経過とともに穿孔を起こす場合がある.いずれの場合でも根管系と歯周組織系が交通する事実に変わりはないが,治療中偶発的に起こる穿孔は少しの注意で回避でき,治療の際もいくつかのポイントを押臨床 Close Up臨床的観点から根管治療における穿孔を再考する――穿孔を起こさないために, 起きてしまった際の治療のポイントはじめにⅠ.穿孔が起こるタイミング₁.髄腔開拡時・根管拡大時・ガッタパーチャ除去時 髄腔開拡時は髄床底や歯頸部側壁などに穿孔しやすい.原因はバーと歯冠・歯根軸のずれ,歯髄腔の狭窄などであり,クラウンなどで歯冠修復されてい
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