日本歯科評論9月号
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川かわ本もと善よし和かず日本歯科評論(通刊第959号) 49₁.理工学的なi-TFCの利点 歯科治療においてメタルフリーが主流となってきている.特に顕著なのは支台築造であり,筆者の臨床では,以前はメタルコアが■割以上を占めていたが,現在は保険診療においてもほぼすべての症例でファイバーポストレジンコアが第一選択である. ファイバーポストは歯根破折を軽減できる利点から,自費治療においては早い段階から導入されており,多数の製品が販売されている.中でもi-TFCシステムは,保険治療との差別化の点から他のシステムとは一線を画している■).本稿では補綴学および理工学的な見地から,その利点および具体的な応用法について述べていきたい. 支台築造において,ファイバーポストレジンコアを選択するのは歯根破折をさせないことを目的としアース歯科クリニックている.臨床応用にあたり残存歯質の量や形態により,歯の破折抵抗を軽減することは可能であり,フェルールの有無,築造窩洞形成,ファイバーおよび接着システム等による工夫が多数なされている■〜■).本稿ではさらに視点を口腔単位での歯の喪失も考慮し,補綴学的・理工学的視点で予後を見据えた支台築造について考察したい. ファイバーポストは従来から存在している既製ポストを使用した築造であり,ポスト部分にファイバーポスト,コア部分にコンポジットレジンを使用した組み合わせである.一般的な市販品はほぼ同じ性質で,ポストのみ単品として販売されている.唯一,i-TFCシステムはスリーブも含めて選択可能であり,カスタマイズが容易である(図₁・図₂). 一般的なファイバーポストは単一方向のみのファ東京都板橋区大和町17-3 第一川井ビル〒173-0012はじめにⅠ.歯を失わないために考慮することⅡ.ファイバーポストは何が良いのか?補綴学および理工学的視点からみた i-TFCシステムと臨床活用法

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