『日本歯科評論』10月号に「新型インフルエンザ
への対応」を掲載


 
 この秋,新型インフルエンザの大流行が予測されているが,月刊『日本歯科評論』10月号では国立感染症研究所の泉福英信口腔細菌感染症室長による「緊急対応――新型インフルエンザへの対応」(2頁)を掲載する.内容は,(1)新型インフルエンザ流行の流れ,(2)新型インフルエンザ情報の入手方法,(3)新型インフルエンザの感染機構,(4)歯科医療機関での対応,(5)おわりに,からなるが,ここに(4)の全文を紹介する.


             
             歯科医療機関での対応

 新型インフルエンザの感染者(発熱,咳があり感染者を広げる可能性がある患者)を歯科治療することは新たな感染者を増やす機会を与え,問題であろう.来院の際には,発熱,咳がないか,感染者が出た場所に出くわしていないかなどを,問診表により事前に確認することが必要である.もし,疑いのある患者が来院した場合,患者との相談の上,すぐに「病院」へ行くのではなく,まず地域の「保健所」や「発熱外来」に電話で相談することを勧める.
 歯科医師は,基本的なスタンダードプリコーションを徹底する.具体的には,マスク,手洗い,手洗い後の水分の拭き取り,手指の消毒,手袋,帽子,防護メガネの着用,医師や患者が触るドアノブの消毒,スタッフへの教育,感染対策マニュアルの作成,講習会への参加,患者来院時の入口に手指消毒剤(例えばグルコン酸クロルヘキシジン配合アルコールジェルなど)を置く,などである(他にも多数あるが,少なくとも上述した対策を行うことは有効である).
 会話や咳の際に発生するエアロゾルは感染のリスクファクターである.理論的には,2メートル離れると重さにより落下するため相手の気道にまでは到達できない.そして,新型インフルエンザに関する様々な知識を,講習会や本,インターネット等で収集していく必要がある.歯科医師会に所属している場合は,歯科医師会の感染対策担当者に相談するのも一つであろう.




(2009.9.4)
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