要介護高齢者の口腔病変アトラス
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DOACを長期間服用している患者で,突然口腔内から出血がみられた症例.医科主治医に報告したところ,DOACの投与量を調整し,出血は治まった. 脳梗塞や心筋梗塞の予防で,血栓の予防に抗凝固系薬剤を服用している高齢者は多い.本剤は,人生の最終段階にあっても服用している場合が多く,近年では,広く使われていたワーファリンよりも安定性があるとしてNOAC (novel oral anticoagulants)やDOAC(direct oral anticoagulants)などの薬が使われることが増えている.食べ物や他の薬剤の影響が少ないといっても,要介護高齢者では状態の変化に応じた投与量の調整が難しく,薬剤の効果が亢進し,口腔でも自然出血することがある. 歯肉は,全身の中でも出血しやすい部位なので,出血を発見した場合には服薬状況を確認し,医科主治医と早期に相談しておくことが必要である.服薬を中止すると脳梗塞や心筋梗塞の再発があるために,安易に中止することはできないが,人生の最終段階における出血の状態などを考慮し,医科主治医と十分に相談すべきである.116薬剤の影響による出血 70代男性

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