萌出障害
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上顎6番の歯胚位置異常による上顎E早期歯根吸収歯胚位置異常60   上顎3番粘膜性の萌出遅延上顎6番上顎6番上顎小臼歯下顎6番乳歯失活上顎7番低位乳歯上顎5番₆歳₃カ月の男児.₆は₆より約半年遅れて近心傾斜した状態で萌出した.₆の歯胚位置異常によるEの遠心頰側根の吸収が見られ,動揺があった.早期に発見できたため,E Dを固定源としてアップライト装置を装着した.上顎1番叢生による乳歯早期脱落上顎犬歯スペース不足乳歯癒合歯₈歳₃カ月.E遠心根は吸収しているが,動揺や症状はない.₆は整直し,安定している.乳歯晩期残存過剰歯上顎5番下顎5番上顎2番上顎1番7番シザースバイト7番近心傾斜₆歳₅カ月.₁カ月半程度で₆のE遠心への引っかかりが解消できたのを確認し,速やかに装置を外した.歯根吸収しているEに長期の負担をかけたくないため,引っかかりが解消でき次第,早期に装置を外すようにしている.₆は引っかかりさえ解消されれば自然移動する.12歳₆カ月.Eは早期脱落することもなく,左側とほぼ同時期に問題なく永久歯に交換した.早期に発見できたため,わずか₂カ月の介入で事なきを得た.上顎6番の歯胚位置異常による上顎E早期歯根吸収 上顎6番が萌出時に近心傾斜してEの遠心に潜り込み,遠心根を吸■してしまうことがある.Eの歯根吸■が進みすぎるとEを残すことが難しくなり,6番がさらに近心に傾斜移動してしまうため,将来の5番の萌出スペースがなくなってしまう.Eを残すためには,歯根吸■が進む前に早期に発見し,対応する必要がある.そのためにエックス線写真撮影による検査が欠かせない. パノラマエックス線またはデンタルエックス線写真で上顎6番の歯胚位置異常によるEの早期歯根吸■が確認できたら,なるべく早く矯正治療を始める.矯正治療には単純なアップライト装置を用いている.6番のアップライトを行い,E遠心への潜り込みを解消すると,あとは自然移動を促せば整直し,下顎と咬合してくる.4上顎6番の異所萌出による乳歯歯根吸収に対してアップライトワイヤーを用いた症例2)

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