日本歯科評論7月号
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₁ 松まつ山やま萌めぐ美み₂馬ば場ば一かず美よし昭和大学歯学部 歯科補綴学講座 ₁教授 ₂大学院生〒145-0062 東京都大田区北千束2-1-1日本歯科評論(通刊第969号) 75 ブラキシズムとは非機能的な咀嚼筋活動が高頻度で生じる状態の総称である.ブラキシズムは覚醒時,睡眠時いずれの状態でも行われるが,覚醒時に行われるものを覚醒時ブラキシズム,睡眠時に行われるものを睡眠時ブラキシズムと呼ぶ.覚醒時ブラキシズムには日中クレンチングと日中歯牙接触習癖,いわゆるTCH(Tooth contacting habit)が含まれる.日中クレンチングが比較的強い力を伴うのに対して,TCHは弱い力で長時間,歯の接触がある状態である.睡眠時ブラキシズム,覚醒時ブラキシズムのいずれも咀嚼や嚥下,会話などの目的を持った機能運動以外の運動,つまり非機能的運動である. こうした非機能的運動は多くの人に認められるが,高頻度あるいは強い力を伴って行われると,歯の著しい摩耗や破折,歯周病の悪化,インプラントのトラブル,義歯の痛み,顎関節症といった,さまざまな問題の原因となる. う■や歯周病予防のためのプラークコントロールの重要性について広く理解され,国民の口腔健康状態は著しく向上してきた.一方で力の問題,つまりブラキシズムに代表される口腔内に生じる力の為害作用については十分な理解が得られているとは言えない.その■つの大きな原因は,う■や歯周病の原因がプラークや歯石といった目に見えるものであるのに対して,「力」を可視化することはできない,つまり,目で見ることができないことである.高度な歯科治療を受けてⅠ フォースコントロールという考え方特別企画特別企画“見えない力”を可視化するウェアラブル筋電計を用いた睡眠時ブラキシズムの臨床

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