日本歯科評論9月号
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■前まえ島じま健けん吾ご■■古ふる谷や彰あき伸のぶ■黒くろ田だ敏とし樹き■石いし田だ裕ひろ美みBTAテクニック®では,歯肉と補綴装置の境界部で窪みが非常に少なくなり,歯ブラシによる清掃や口唇,舌による自浄作用で,歯垢を除去しやすくなることも,大きな利点ではないかと考えられる. 前回(■月号)では,筆者(坪田)がBTAテクニック®の基本的な解説を行い,石田・黒田の■先生が,日本人に多く見られる上顎■番の舌側転位歯をBTAテクニック®で唇側に出し,歯並びを整える症例の提示を行った.今回は主に上顎前歯の歯肉ラインの不揃いを伴う歯列不正への対応症例を古谷・前島の■先生が提示する. BTAテクニック®は決して難しいテクニックではないが,審美補綴を格段にレベルアップできる.治療期間は短く,患者の肉体的な負担,精神的な負担が少ないため,患者の満足度も高くなる.さらに多くは長期的に良い結果を保ち大きな問題は起きにくいため,患者からの信頼度も増すことになる.今回提示する両先生の症例も■〜■年と長期的な経過観察を行っているが,とても良好である. 前回,BTAテクニック®が成功する最も大きな理由として,BTAマージンに接する歯肉が非角化上皮を呈し,シーリングを強くするということを述べた.歯肉のシーリング(soft tissue sealing)が確実であれば,歯肉溝はほぼなくなり,歯垢の付着も起こらず,バイオフィルムも形成できない.また,わずかな歯肉溝であれば,滲出液が大量に早いスピードで流れ出ているものと考えられる.そのこともバイオフィルムの形成を防ぐ要因となっているものと思われる.さらに滲出液の中には白血球・抗体があり,細菌が侵入してきても死滅させることができ■ 赤坂フォーラムデンタルクリニック 〒107-0052東京都港区赤坂7-5-34-108■ ひろみ歯科医院 京王仙川 〒182-0002 東京都調布市仙川町1-12-40■ 黒田クリスタル歯科 吉祥寺 〒180-0005 東京都武蔵野市御殿山1-1-3 クリスタルパークビル■階■ 勝田台フルヤ歯科 〒285-0855 千葉県佐倉市井野1554-3■ 前島歯科医院 〒102-0072 東京都千代田区飯田橋3-5-1 東京区政会館■階70 THE NIPPON Dental Review Vol.83No.9(2023-9)BTAマージン図➊ BTAテクニック®が成功する生物学的な理由―歯肉と補綴装置マージンの平坦化.はじめに――BTAテクニック®が成功する理由[審美歯科BTA研究会]坪つぼ田た■けん嗣じ審美性と長期安定性のためのBTAテクニック®の臨床活用法②

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