日本歯科評論8月号
9/9

 新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが,2023年■月■日(月)に季節性インフルエンザなどと同じ「■類」に移行した.しかし■月■日を過ぎたからと言って,SARS-CoV-2の病原性は一気に低下するわけではない.今までと同じように歯科医療における院内感染対策を続ける必要がある.歯科医療従事者は,唾液や血液に曝される機会が多く,感染症の問題に影響を受けやすい,と考えられてきた. 一方,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下の歯科医療機関でクラスターが発生する事例は,ほとんど見受けられない.歯科医院が院内感染対策に取り組んできたことは評価される.その成果として,COVID-19において対応できたのかもしれない.では,歯科医療で今まで感染対策の対象とされてきた,血液が媒介して流行する感染症〈B型肝炎ウイルス(HBV), C型肝炎ウイルス(HCV), AIDSウイルス(HIV)〉に対してはどうだ日本歯科評論(通刊第970号) 121日本大学松戸歯学部日本大学松戸歯学部〒271-8587 千葉県松戸市栄町西2-870-1〒271-8587 千葉県松戸市栄町西2-870-1ったのか? 今後起こりうる新感染症に対しても,揺るがない院内感染対策を充実するためには,今一度,COVID-19における院内感染対策を検証して,今後に備えていきたい. SARSコロナウイルスによるパンデミックは,定期的に起こっている.2002年11月に,中国南部の広東省で非定型性肺炎の患者が報告されたのに端を発し,北半球のインド以東のアジアやカナダを中心に感染が拡大した.カナダや米国など32の地域と国にわたり8,000人以上の患者と800人を超える死者が出て,致死率は10%前後だった.これは,SARS-CoV-2よりもはるかに高い数字である.2003年■月■日にWHOによって終息宣言が出された. ■回目のコロナウイルスによるパンデミックは,中東呼吸器症候群(MERS)である.MERSは,2012年■月以降,サウジアラビアやアラブ首長国連邦など中東地域で広く発生した.当時,新しい種類はじめにCOVID-19はどのような感染症だったか?感染症だったか?泉泉■■■■福福■■■■英英■■■■信信■■■■ポストコロナにおけるポストコロナにおける歯科医療の院内感染対策について歯科医療の院内感染対策について(Ⅰ)(Ⅰ)はじめにⅠⅠCOVID-19はどのような

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る