日本歯科評論9月号
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坪つぼ田た有ゆう史じ32 THE NIPPON Dental Review Vol.82 No.9(2022-9)坪田デンタルクリニック在の製品ラインナップのバックグラウンドを理解していただくために,i-TFCシステムが目指した特徴について,開発経緯を通じて紹介する■〜■). 四半世紀前となる25年前,1997年■月に接着臨床研究会(眞坂信夫代表)・支台築造研究部会が発足した.根管処置と支台築造の術式は,1990年代に発展したといえる.しかし,支台築造ごとの補綴装置の脱落や歯根破折などの術後のトラブルを完全に防ぐことはできなかった.他方,根管充塡を行った根管処置歯には,術後に再度根管処置が必要となるケースが残念ながら認められる.したがって,根管処置歯のさまざまな術後トラブルの対策となる支台築造法の確立を目指して,この部会が発足された. 支台築造研究部会は,よりよい支台築造法の確立に繋がるシステムの開発を最終目標とし,はじめに支台築造周辺について理解,確認するため表₁に示す■項目のテーマを設定した.これらのテーマに沿〒112-0006東京都文京区小日向4-7-14 支台築造は歯質欠損を補い,主に歯冠補綴装置を装着するための適正な支台歯形態へ回復させることが目的であり,機能や審美性の回復のため,その臨床的意義は高い.しかし,残念ながら支台築造に起因する術後トラブルを完全に回避することはできていないのが現状である. 歯冠補綴を行った根管処置歯の術後トラブルの中で,築造体ごとの補綴装置の脱落,二次う■,ならびに歯根破折が高い頻度で発生することが報告されている.とくに歯根破折は,近年,抜歯の原因としてその頻度が増加している■).すなわち歯根破折は,支台歯が保存困難になる可能性が高く,できるだけ回避したい術後トラブルといえる. その歯根破折への対策を主としたシステムを構築するために接着臨床研究会・支台築造研究部会が提案してi-TFCシステム(サンメディカル株式会社,以下サンメディカル社)が開発された.本稿は,現はじめにⅠ.i-TFCシステムの開発経緯i-TFCシステムの開発経緯と進化支台築造材料としての

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